クロスストーリー
「そうだな…キミに興味が湧いたから…では答えにならないかい?」
「………。」
カミヤにとっては疑問が増えただけなのだが目の前の人は嘘を言っているようにも見えない。
おそらく真実なのだろう。
その独特の雰囲気に、カミヤもこれ以上突っ込めなかった。
「フフ…では行こうか、ここには忘れ物を取りに来ただけなんだが…思わぬ収穫になった。」
「収穫って…俺は標本か。」
立ち上がり軽い文句を言ったつもりなのだがランプの主は一瞬目を見開くと楽しそうにクスクス笑った。
そして焔に照らされたカミヤの肉体を見て
「凄い体だね…今まで何をしてきたんだい?」
「さぁ…生憎記憶喪失者なんでわからないです。」
その言葉を聞くとランプの主は再び笑った。
家の外へと出ると、ランプの主は口笛を鳴らす。
すると鈍い羽音と共に降りてきたのは自分と同じ漆黒の体をした…龍。
驚くカミヤをよそに、ランプの主は平然として
「私のペットだ、乗りなさい…30分もすれば私の家につく。」
「あ…ハイ、あ、ちょっと待ってください。」
「何か?」
「その…名前を…まだ聞いてなかったから。」