クロスストーリー

最もな疑問なのだがこの人にとっては何故か新鮮だったようだ。
黒龍にまたがったまましばらく考えているとにっこりと微笑んで

「そうだね…私は『マナ』と言う、だが学園では学園長と呼んでくれよ?
他の生徒に示しがつかないのでね。」

この時、マナと言う人の印象は穏やかで…ほんの少し寂しそうな印象を受けた…
そしてそのことを妙に同調してしまう自分を不思議に思いながら、カミヤは龍の背にまたがる。


「ハァ…。」

ベッドと最低限の家具だけというシンプルな大部屋。
人が1人で使うにしては大きすぎるまでの室内で、カミヤは一人考えていた。
その表情は期待に溢れていた夜とは違い不機嫌に満ちている。

「来なきゃよかったかな…。」

「キュ~?」

成り行きで一緒に付いてきてしまった子狐を撫でるもその表情は冴えない。
どうしてこうなったかというと、話は学園に着いた時まで遡る…。


「さぁ到着だ…ここまでの長旅御苦労だったね。」

あの後、途中浜辺に寄って貰い服を取りに帰り固まったままの子狐と共に学園に向かっていたのだが…

「あ、ハイ…って痛いってんだろお前。」

「グギュ!?キューン…。」

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