クロスストーリー
1階まで螺旋階段を下っていくと、裏口らしき扉の近くに変わった機械が置かれていた。
どうやら更新というのはこれで行うらしい。
「…といっても俺はここの文字わからないんだけど…こうか?」

カートリッチのような部分にプレートをセットすると、どうやら当たっていたようだ。
勘を頼りに弄っていたが、画面端の『一斉更新』らしきマークに気づくとそれをタッチする。
ビンゴみたいだ。
独特の機械音と共に様々なデータが挿入されているらしく、プレートが細かに光っている。
データ挿入完了と共に、淡い光を放っていたプレートは機能を停止した。

「…終わりかな?じゃ、早く戻…あ。」

ここでカミヤは重要なことに気づく。

「俺、どこで寝るんだ?」

扉を出るとそこは4階から見える景色のまま、森の中だった。
これでは遭難していた時とあまり変わらないではないか。
いつのまにか後ろについてきている子狐も、ここは自分のテリトリーではないので地理が分からないらしい。

「うーん…」

半ば途方に暮れながら、更新されたらしいプレートを弄ってみる。
相変わらず文字は読めないのだが、幸いにも表示されたアイコンで何を表しているか想像できた。
探り探りの操作でどうにか地図を起動させると、プレートが発光し、今いる場所を検索し始める。

「…あれ?」
だが表示された画面は『圏外』という文字だった。
無論そう書かれているかは分からないのだが、色彩感覚はこの世界でも同じなのだろう。
問題発生を表す赤文字と、それ以降更新されない画面でカミヤはすぐ理解した。
やれやれと肩を落とすもののここで止まる訳にもいけないし、あの学園長にもう一度聞きに行くのはなんとなく…気が引ける。
< 19 / 63 >

この作品をシェア

pagetop