クロスストーリー
怪訝な顔つきで怪我人が出てきた。
どうも自分の常識と当てはまらなかったらしい。
「何?なんか文句あんの?」
挑発的な態度を取っているあたりやっぱり医者には見えなかった。
まぁこの世界の常識など殆どが知らないに等しいカミヤは従うほかないのだが。
「『ルゥ』俺の名前、アンタは?」
「…カミヤだ」
「カミヤ?」
ルゥと名乗った少年は、キョトンとした表情を浮かべた後思い出したように声のトーンが上がった。
「お前か!?飛び級で特待になった転校生って!!」
「?」
「!!」
言われた本人はよく分かっていなかったが、後ろで聞いていた姉には衝撃的だったようだ。
無意識なのかカミヤから一歩距離を置き、なるべく近づかないようにしている。
「学園長から言われてたんだよね、近いうち転入生が来るって。
そっか俺が一番最初か。」
「…生徒、なのか?」
「そ、とりあえず乗んなよ。
怪我なんだろ?」