クロスストーリー
「で、使い方だけどー…ま、やった方が早いか。」

床に置かれた水を手に取り、羅針盤に少しずつ注いでいく。
浮力を得たためなのか、中央にある羅針盤の針は少しだけ浮いて揺れている。

「で、あとはこうする」

指先を少しだけナイフで切ると流れ出る血を羅針盤に落とした。

「…割とグロいな」

「血まみれで猪と戦っていたやつがなにビビってんの?」

血が滴り、羅針盤の水が少しずつ赤く染まる。
そろそろいいかと、止血した彼は羅針盤の針を回転させた。

「?」

「黙ってみてろよ。」

-カシャン。

遠心力の作用なのだろうか、回転させた羅針盤の指針の対面に、小さな針が無数出る。

「大きな針が魔法のタイプ、小さな針が属性を表す。
血を使うのは一番楽だから。」

「…なるほど。」

どういう仕組みなのかは解らないが、理解はできた。
だが文字が読めない自分にとっては結果がどうなのかがよく分からない。

「さ、お前もやってみなよ。」

水を捨てると、彼は羅針盤をカミヤの前に置いた。
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