中毒ポリシー
中毒ポリシー

君にとっての存在

初めは、泣かすことが目的じゃなかった。


ただ…純粋すぎて可愛すぎた君を少し、たった少しだけからかって傍に置いておきたかっただけなんだ。







2人っきりの教室は、いつもよりも大きい気がして気が気じゃない。



「だから…もう傍にも寄りたくない!」


「なに?お前が俺にそんな口きいていいと思ってんの?」




いつだってそうだ。


苦しくなって、言う事を聞かなきゃいけなくて、唇を噛みしめるのもあたし。


あんたはいつだって、あたしの事を脅して平然としていられるのでしょう?


その姿でさえ、好きだって思って逆らえないあたしなんてバカなんだ。




「由加里(ゆかり)が言うこと聞かないなら…どうしようかな?」


「待って!聞く。聞くからやめて…」



廉(れん)なんて…嫌な奴だ。


あたしは佐中先輩が好きだっただけなのに、なんでそれを理由に脅されなきゃいけないのよ…。



「…廉なんて嫌いだよ」


「由加里にそんな事言う権利なんてねえよ」



廉に恋する気持ちなんてわかるはずがない。


こんな血も涙もないような奴に。


こんな奴に……。



「長谷部、部活行かねえの?」


っ…佐中先輩。



すらりと高い身長に、ふわりと浮いた天然の髪の毛に、ちょっぴり怖い一重の目。


でもそんな見た目とはま逆にすごく優しくて気さくないい先輩なんだ。


< 1 / 11 >

この作品をシェア

pagetop