中毒ポリシー
これは夢だと信じさせて…
何日か日にちがたってしまったら…この変な心臓の動きなんてなくなって、消えてしまって、すべて楽になるんだって思ってた。
でも…あの日からあたしの心臓はおかしい。
廉を見るたびに、ズキズキと痛んで大きく脈打って…言う事を聞いてくれない。
佐中先輩を見ていてもこんな気持ちにならなかったのに…。
「佐中!次の試合はホームラン打てよ」
げらげらと下品なくらいの笑い声を上げる仲間に、佐中先輩は鬱陶しそうに見る。
「俺がーそんな事できると思ってんのかよ!」
本当はできるのに、できないって言っているところがすごいと思うの。
できる人って驕ってばっかりで天狗になるのに、佐中先輩は絶対にそんな事しない。
そこがすごくかっこいいと思うの。
「長谷部もそう思わねえ?」
な?っと言うようにあたしの頭を撫でてくれた佐中先輩に嬉しくなる。
この暖かい手のひらが好きなんだ。
廉とは違ってふわふわの髪の毛とか……。
…なに廉と比べてるんだろう。
廉なんかより佐中先輩のが何倍も、何億倍も素敵でかっこいいのに。
でも、佐中先輩より高い身長にツンツンに立たせた髪に…あたしの事を見る目が、あの猫のように細い目が頭から離れない…。
頭の中をぐるぐると回って、同じ場所に戻ってくるあの存在。
ただただ大嫌いなはずなのに……。
「長谷部…?」
「わっ…すみません」
変にこびりついて離れないあの存在を…どうしたらいいの?