【完】私の彼氏は転校生。
本当に……夢でも見てるんじゃないかって思う。
「おかえりなさい、大河。……そちらのお嬢さんは?」
奥の扉から大河くんのお母さんが出てきた。
「同じ高校の尾崎さん。これから俺の部屋に連れていきます」
「そうですか。では、あとで執事に紅茶を持っていかせます。大河、尾崎さんにいやらしいことしないのよ」
「……わかってますよ、お母様。からかわないでください」
大河くんのお母さんはクスクスと笑いながら去っていった。私達は長ーい廊下を通って大河くんの部屋に入った。そこは、リビングと同じくらいに広かった。何分かしたあと、執事が入ってきた。
「どうぞ、ごゆっくり」
執事は紅茶を丁寧に置いて部屋をでていった。
「……そういえば大河くんって彼女いるの?」
「いや、いないけど。……気になる人なら……いる」
「へぇ〜……、誰が気になるの?」
「……教えない」
大河くんはそういってプイッと顔を背けた。……なんかかわいい。
「えぇーっ、教え――」
「教えない」
ううっ、即答……
「……タコ女。また赤くなってるし」
「だーかーらー……、タコ女じゃないってばー!!」
私は大河くんの胸をポカポカ叩いた。大河くんはそれを見て笑っていた。
大河くんとこうして一緒にいるのが、幸せに感じた。