【完】私の彼氏は転校生。
〜健吾side〜
俺は親父に買い物を頼まれ、コンビニへいった。帰りに立夏の家がある道を通った。すると、立夏が家の前で誰かと話していた。よく見てみると相手は神城大河だった。神城は俺がいることに気づき、冷たい視線で見てきた。そのあと、立夏もこっちをむいた。
「……立夏? ……なんで……神城と……」
「……あ……健吾、違うの、これは……」
「何が違うの? ……まさか俺とのデートを断って神城と遊んでたの?」
俺は立夏が神城といたことにイラッときて、こういってしまった。立夏は返事をしなかった。すると、立夏の隣にいた神城が口を開いた。
「……滝川、お前本当に彼氏なの? なんで尾崎さんがいじめられてるのに助けてあげなかったんだよ。なんで彼氏なのに助けられないんだよ」
それはクラスの女子からの威圧が強すぎて敵わなかったから。と言おうとしたが止められた。
「もういい。お前は彼氏失格だ。彼女を守ることができない彼氏なんて必要がない」
……!確かに俺は……立夏を助けられなかった。……守れなかった……。
「……わかった。……立夏、別れよう」
俺は立夏の顔を見なかった。立夏が泣いてると思ったから。
……泣いてる立夏を見たくなかったから……
「――!! 待って、……健吾!!」
後ろから立夏が呼んでる。だけど俺はそれを無視して走り続けた。曲がり角を曲がったあと、涙が出てきた。
俺はいつも立夏を信じていた。でも今回は信じてあげられないかもしれない。立夏は今まで、一度も嘘や隠し事はしなかったから、とてもショックを受けた。
「なんで……あんなこといっちゃったんだろ、俺……」
俺は家の近くにある小さな公園のブランコに座って呟いた。
「――滝川何してるの? こんなところで」