【完】私の彼氏は転校生。
誰かが走ってくる音が聞こえた。
「やめろ!」
……悠太……?
顔をあげてみると、息を切らして走ってきて汗だくになった悠太がいた。
「ふ、藤野君? どうしたの?」
福井さんが少し笑いながら言った。
「どうしたのじゃないだろ、俺の彼女に手を出すなっ……!」
「なっ……! なによー! 藤野君なんか大嫌い!!」
そういって福井さん達は階段をかけ上がっていった。
「……立夏、大丈夫!?」
悠太の優しい声を聞いて、福井さんの怖さから解放された気がして目頭が熱くなり、悠太に抱きついて泣いた。
「ゆっ……悠太ぁ〜……っ! 怖かったよ〜……!」
私は始めて人の前で泣いたと思った。
悠太は、私が泣き止むまで一緒にいてくれた。