花の名【短編】
物思い


ふう、と息を吐き出せば

それは白く染まってすぐに消えた。


朝は肩をすくめるほど寒くなって、もう、息が白く染まる季節がやってきた。



「さむ、」


寒い寒い、と口の中で呟きながら指先をこすり合わせて。



息が白く染まるのが楽しくって

上に向かって口から息を吐いた。



< 1 / 6 >

この作品をシェア

pagetop