臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
朝の出来事
康平の六月上旬から始まった朝のロードワーク(ランニング)は、九月下旬になった今でも続いている。
夏休みは、深い理由があって四時から走る羽目になってしまったが、普段は朝の五時に起き、七キロの距離を四十分程時間をかけ、ユックリ走る。
七月下旬までは、雨が降っていると喜んでロードワークを休む康平だった。だが、今は走らないと体がスッキリしないようで、雨の日でもカッパを着て走っていた。
二週間程前、彼は絶好のシャドーボクシングスポットを見付けていた。母親に頼まれた用事で、歩いている最中に偶然見付けた場所である。
それは、自宅から歩いて五分程離れた場所にある散髪屋だ。四台程入る駐車場の奥に「BarBarくりはら」という名前の店舗があり、前面がマジックミラーになっていた。
康平の体が疼く。
部活の際、鏡の前でシャドーボクシングをする機会が多い康平は、自分を鏡で見るとパンチを打ちたい衝動にかられるようである。
その翌日から康平は、ロードワークの後にこの場所へ来て、シャドーボクシングをする事が日課になっていた。
今日も康平は、ロードワークを終えてその場所に向かった。
夏休みは、深い理由があって四時から走る羽目になってしまったが、普段は朝の五時に起き、七キロの距離を四十分程時間をかけ、ユックリ走る。
七月下旬までは、雨が降っていると喜んでロードワークを休む康平だった。だが、今は走らないと体がスッキリしないようで、雨の日でもカッパを着て走っていた。
二週間程前、彼は絶好のシャドーボクシングスポットを見付けていた。母親に頼まれた用事で、歩いている最中に偶然見付けた場所である。
それは、自宅から歩いて五分程離れた場所にある散髪屋だ。四台程入る駐車場の奥に「BarBarくりはら」という名前の店舗があり、前面がマジックミラーになっていた。
康平の体が疼く。
部活の際、鏡の前でシャドーボクシングをする機会が多い康平は、自分を鏡で見るとパンチを打ちたい衝動にかられるようである。
その翌日から康平は、ロードワークの後にこの場所へ来て、シャドーボクシングをする事が日課になっていた。
今日も康平は、ロードワークを終えてその場所に向かった。
< 1 / 273 >