臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「こんぼう」から「どうのつるぎ」へ
 九月二十九日の火曜日。放課後になり、ボクシング部員達は練習の準備をしている。

 ボクシング場での準備運動が終わり、一年生達はいつものように第二体育館へ行こうとした。

「高田と白鳥はちょっと待て」

 飯島が二人を呼び止め、話を続けた。

「今からお前らに、『だっちゅうの理論』を教えるつもりだ。……ついでに『達磨落とし』の話もしちゃおうかな」

 梅田が話に加わる。

「飯島先生、あの二人に教えて貰ってもいいですか? ……この話は、私よりも先生の方が上手く話せますからね」

「構いませんよ。片桐と有馬、お前らもコッチへ来い」

 第二体育館へ行こうとしていた健太と有馬も、飯島の元に歩いて行く。


 集まった一年生達に飯島が話し出す。

「今日はお前らのパンチの威力を上げようと思ってるんだが、片桐と有馬は『だっちゅうの』って知ってるか? 高田と白鳥は知らないみたいだったんだがな」

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