臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
康平が彼女の事を言おうとした時、健太が先に口を開く。
「実戦空手をやっていて野蛮、……もしかして弥生か?」
「よ、よく分かったな」
「野蛮と言えば奴しかいねぇよ」
健太が吐き捨てるように言った。康平程多くはないが、彼も小学校低学年の時に弥生から二度泣かされていた。
「でも康平、弥生って中学二年の時は滅茶苦茶問題起こしてたじゃん。アイツ高校入れんのかな?」
「何、そんなにヤバイ子なのか?」
「えぇ、喧嘩っ早くてしょっちゅう職員室に呼ばれてましたよ。茶パツのロングでしたしね」
健太の話を聞いて飯島は腕を組んでいた。
「おい高田、その子大丈夫なのか?」
「たぶん大丈夫だと思います。今は黒髪のショートカットですし、かなり勉強してるみたいですから」
腕を組んだまま考え込んだ飯島が、康平と健太に言った。
「お前らに一つ重要な質問がある。……その子は可愛いのか?」
康平と健太は顔を見合わせた。