臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「何よ、私のスカートの中覗いたくせに」

「ち、違うって……あれは見えたんだからしょうがないだろ」


 慌てる康平を見て弥生は意地の悪そうな顔になり、更に付け加えた。

「胸に顔を押し付けるしさぁ〜」

「そ、それは弥生のヘッドロックのせいだからな」


「ちょっと声が大きいわよ。みんな見てるじゃない」

 亜樹に制止された康平と弥生が机の方へ視線を向けると、十人位の人達が迷惑そうな顔で見ていた。


 静かになった二人を見て亜樹が言った。

「弥生ちゃんはご飯食べたの?」

「今食べ終わるところです」

 弥生は、康平の弁当から卵焼きを一つ取って口に入れた。


「さぁて勉強再開しますか。その前に手を洗ってきます。手が脂っぽいからね」

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