臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 康平は弁当を食べ終わり、亜樹達の座っている机に向かった。


 四人用のテーブルに弥生と亜樹は並んで座っている。康平は亜樹の正面へと座った。

 弥生は彼女の苦手な数学をやっていた。教科書を開いていたが、その頁には青い付箋紙が付いていた。


「山口さん、教えて欲しいんだけど」

「亜樹でいいわよ。ここはね、……」


 弥生は真剣に亜樹の話を聞きながら、教科書の空白の部分へメモをしている。亜樹もそれに応えて熱心に教えた。


「……成る程ね」

 教科書へメモを書き終えた弥生はそう言うと、席を立って図書館の中を歩き出した。


 しばらくすると弥生が戻り、亜樹に自分がどう理解しているかを話し始める。


「……うん、それでいいんじゃない?」

「よし、じゃあココは終わりね」

 弥生は質問した頁へ貼っていた青い付箋紙を赤いものへと替えた。

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