臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「亜樹さん、今度はココ教えてくれる?」

 弥生は、青い付箋紙の付いた別の頁を開いていた。

 さっきと同じように、亜樹の話を聞きながら教科書へのメモを書き終えると、弥生は再び図書館の中を歩き出した。


「弥生ってこんな感じで勉強してたの?」

「そうね。弥生ちゃんは頭の回転がいいから、ペースが早いのよ」

「アイツ、教科書をノート替わりにしてるんだな」

「でも、彼女はそれで理解してるようだし、能率はいいのよね」

「それにしても、汚い教科書だなぁ。メモでグチャグチャになってんじゃん」

「康平、他人の教科書を覗いちゃ駄目でしょ! ……弥生ちゃんは本人が分かればいいって言ってるしね」



「康平ちゃん、ちょっと邪魔しないで!」

 席に戻った弥生は、再び理解した内容を亜樹に説明した。

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