臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「肩関節ですか? ……両方共、前に出ている感じです」

「他の者はどうだ?」

「有馬と同じ様な感じです」

 健太が答えると、康平と白鳥も頷いた。


「よしよし、その前に出た肩関節の状態を意識して、両腕を水平になるまで上げるんだ。そして、そのままサンドバッグを歩きながら両拳で押してみろ」

 四人は飯島から言われた通り、近くにあるサンドバッグを両拳で押す。

「白鳥、どんな感じだ?」

「……腕がつっかえ棒のようです」

「高田はどうだ?」

「僕も白鳥と同じです」

 飯島は健太と有馬にも訊き、白鳥と同じ状態になっている事を確認すると、再び四人に話し始めた。

「お前ら、肩関節を前に出す感覚は分かったな?」

「はい」

「今度はやり方を変えるぞ。有馬、俺の所へ来い」

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