臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「早速この頁から教えて下さい」

 弥生は昨日と同じように数学の教科書を出し、青い付箋紙の付いた頁を開く。

 康平は仕方なく数学以外の勉強を始めた。



 一時間半程勉強をした後、四人は休憩をしにロビーへ向かった。

 亜樹と綾香は水筒を持参していたが、康平は自動販売機でコーヒーを買った。

 弥生はロビーへ行く前に、水飲み場で水を飲んでいた。

 それを見て綾香が言った。

「弥生ちゃんは、水筒とか持って来なかったの?」

「水筒は作るのが面倒なんですよね」

「横着な奴だな。まぁ俺もだけど……」

「康平ちゃんには言われたくないわね。……亜樹さん、休憩後はまたお願いします」

「本当に亜樹は弥生ちゃんの専属家庭教師みたいね」

「ごめんなさい。数学で頼れるのは亜樹さんしかいないんです」

 綾香に言われて弥生は素直に謝った。

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