臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「大事な仕事って何だよ?」

「これよコレ!」

 弥生は自動販売機を指差した。


「今日オゴるのは、これで最後だからな」

 康平は財布から百二十円を出そうとした。だが、五百円玉しか入っていなかった。


「どれを選ぶんだよ?」

 五百円玉を自動販売機に入れた康平が訊くと、弥生は素早く立ち上がってそこに行った。


「じゃあ、これね」

 弥生はオレンジジュースのボタンを押していた。百五十円のペットボトルである。


「あっ! 高いヤツを選びやがって」

「康平ちゃんアリガトね。……綾香さんにもう一つ訊きたいんだけど、中三の部活引退した後って太りませんでした?」

「あの時はショックな位太っちゃったわね。……運動を急にやめると反動みたいのがあるよ」

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