臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「やっぱりそうですよね」

 綾香の話を聞いた後、弥生は五百ミリのジュースを半分程一息で飲んだ。


「体重気にしてんだったら、少しは飲むの控えろよ」

「うるさいなぁ。私に我慢は似合わないのよ! ……康平ちゃん、まだココにいていいよ。私、もう帰るからさ」

 弥生は、ペットボトルに入っているジュースの残りを一気に飲み干した。


「弥生ちゃん、やっぱり私が教えると分かりにくかった?」

「康平ちゃんにも分かる教え方だったから、全然大丈夫ですよ。……今日は体重が気になったんで、これから空手の練習行ってきます」

 心配そうな顔の綾香へ弥生は笑顔で答えた。


 机から勉強道具をバッグに入れた弥生は、ロビーへ戻り、意地悪な顔をして綾香に言った。

「綾香さん、スカートの時は康平ちゃんの正面に座らない方がいいよ。覗かれるからね」

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