臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 飯島が再び口を開く。

「全員理解出来たな? お前らの頭の中を整理する為に俺から質問するぞ。……有馬、力が逃げないようなパンチを打つにはどうするんだ?」

「パンチを打つ時に肩関節を前に出す事と、胸を開かない事です」

「よーし。一番成績の悪いお前が分かるんだったら、全員理解出来たって事だ。お前らも理解出来たろ?」

 康平と健太、そして白鳥が笑うに笑えないような顔で頷いた。


 有馬が言い返した。

「ひでぇッスね。でも、うちの部はテスト休みが無いんですよ。それがあれば少しは成績が上がると思うんですけど……」


 飯島は複雑な表情で答えた。

「……テスト休みは微妙な時期なんだよな。インターハイ県予選が一学期の中間テストの約一週間後で、国体県予選が期末テストの約一週間後だ。そして新人戦の県大会も今の中間テストの約一週間後だ。練習の仕上げをしたい時期にテスト休みなんだよ。……お前ら試合に勝ちたくないか?」

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