臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 そして、飯島は白鳥に忠告した。

「白鳥、ボディーへパンチを食らうのはお前が悪いんだぞ。ボクシングは隙があれば徹底して狙われるんだからな」

「……は、はい」

 一ラウンド目でボディーブローを七発貰った白鳥は、我慢しているのか表情こそ変わらないが、返事をした声は小さくなっていた。



 二ラウンド目が始まると、すぐに接近戦での打ち合いになった。

 大崎が、右、左、右とショートストレートを軽く顔面へ打つ。

 堅いガードで凌いだ白鳥が顔面へ左フックを強振したが、大崎は右へ位置を変えながらこれを潜って避ける。

 そして、白鳥の左側にいる位置から左ボディーブローを放った。

 ベジッと鈍い音を立てて、白鳥の正面からボディーの真ん中へヒットした。

 白鳥が、足をよろめかせながらも右パンチを返す。高い姿勢から打つ為か、上から振り下ろすようなパンチになっていた。


< 174 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop