臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 リバー(肝臓)にパンチを貰った白鳥は前屈みになり、右膝をマットに付けた。

「ストーップ! ワン、ツー、スリー……」

 飯島がカウントを数え始める。

 彼がカウントを七まで数えた時、白鳥が立ち上がってファイティングポーズをとった。彼は元々赤い顔をしているが、ボディーブローをかなり貰って効いているせいか、顔が真っ赤になっていた。


「白鳥、続けられるか?」

 飯島に訊かれた白鳥は、ファイティングポーズをとったまま小さく頷く。


「……続けるぞ」

 残り二十秒を表示しているタイマーを見て、飯島はそう言った。


 スパーリングが再開されると、動きの鈍くなった白鳥に大崎がスッと近寄った。

 大崎が左フックを顔面へ触るように軽く打ち、同じ手で鋭くボディーブローを放つ。

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