臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
健太が一ラウンド目のように、ガードを上げて前へと出る。
それを見た飯島が梅田に訊いた。
「梅田先生は、片桐が左ボディー打ちばかり狙ってるのは分かってるんですよね?」
梅田は、リングの中でスパーリングをする二人を見ながら答える。
「先週のスパーの時、左ボディー打ち以外のパンチは全部森谷からかわされていましたから、奴はこのパンチにすがってるんでしょうな」
「その左ボディー打ちも、ブロックの上だったんですけどね」
「片桐は今、左ボディーブローだけを狙うバランスになっていて、後ろ足に重心が片寄ってしまってるんです。……たぶん無意識だと思うんですがね」
「それで森谷にカウンターを打たせて荒療治ってわけですか?」
「……ボクシングは、痛い思いをしないと分からない事ってありますからね」
梅田はそう言って、苦虫を噛んだような顔をしながらリングの中を見ていた。
それを見た飯島が梅田に訊いた。
「梅田先生は、片桐が左ボディー打ちばかり狙ってるのは分かってるんですよね?」
梅田は、リングの中でスパーリングをする二人を見ながら答える。
「先週のスパーの時、左ボディー打ち以外のパンチは全部森谷からかわされていましたから、奴はこのパンチにすがってるんでしょうな」
「その左ボディー打ちも、ブロックの上だったんですけどね」
「片桐は今、左ボディーブローだけを狙うバランスになっていて、後ろ足に重心が片寄ってしまってるんです。……たぶん無意識だと思うんですがね」
「それで森谷にカウンターを打たせて荒療治ってわけですか?」
「……ボクシングは、痛い思いをしないと分からない事ってありますからね」
梅田はそう言って、苦虫を噛んだような顔をしながらリングの中を見ていた。