臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
康平と有馬はすぐに梅田の所へ集まる。健太も立ち上がってそこに歩いていく。
飯島が梅田に言った。
「白鳥は十分程前に第二体育館へ行きましたよ。何だったら呼んできましょうか?」
その時康平は不思議に思った。
康平と白鳥は下半身強化の為、一週間の中で火・木・土の三日間は、第二体育館でケンケンと空気椅子をする事になっていた。今日は月曜日なので、それを取り組む日ではない。
また、康平もそうだが、白鳥はそれ以上にシャイである。女子バスケ部だけが練習している第二体育館へ行く時、今までだったら白鳥は必ず康平を誘っていた。
だが彼は、今回一人だけで第二体育館へ行ったのだ。
康平は、今日の白鳥のスパーリングを思い出して納得した。
白鳥は接近戦で、腰高の為に散々ボディーへパンチを貰った。少しでも下半身を強化して、腰高の癖を直そうとする彼の気持ちが分かったからだ。