臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「今週の金曜日はお前らのスパー(リング)を予定していたが、それは中止になった。次のスパーは来週の水曜日だ」

「先生、先輩達は来月に新人戦ですよね? 自分達が相手をしなくて大丈夫なんですか?」


 質問をした有馬に梅田が答える。

「今週から試合まで、三年生達が練習相手に来てくれる事になった。二年生達も、全力でスパーをしないと試合に臨めないならな。……それとだ、今日から森谷にカウンターを打たせたが、来週からは大崎にも打たせるからそのつもりでいろ」


 一年生達は全員返事をしたが、健太がカウンターで倒されるシーンを見ていたせいか、康平と有馬、そして白鳥は緊張した面持ちになった。

 健太は返事をした後、ずっと視線を下に向けていた。

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