臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「有馬、お前はそうやってよくサボってるんだな?」
梅田が有馬を睨んだ。
「い、いや、たまたま授業へ遅れた時に言っただけですよ」
「たまたま? 現国の先生から訊かれたんだよ! 『有馬君は、ショッチュウお腹を下して授業に遅れるんですが、ボクシングをやっていけるんですかね』ってな」
有馬は、何も言えずに下を向いている。
部室を出ながら梅田が言った。
「お前らはサッサと授業に戻れ。……サボった時の言い訳とボクシングは、ワンパターンじゃ駄目なんだよ」
教室へ戻りながら康平が有馬に訊いた。
「先生は最後、冗談を言ったんかな?」
「真顔で言ってたから分かんねぇよ。……俺んトコの授業は現国だから、腹を下した以外の理由にしねぇとな」
六時間目の授業が終わって部活になった。