臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 更に一分が過ぎて、二人は同時に床へへたり込んだ。

 康平と白鳥は太股のストレッチをした後、前足の曲げを意識しながら、ゆっくりとシャドーボクシングを始めた。

 それが終わった後に康平が訊いた。

「白鳥はケンケン終わったの?」

「……い、いや、まだだよ」

「じゃあ一緒にやろうぜ」

「……あぁ、そうだね」


 ケンケンは、片足で大きく跳んで体育館を何往復もするトレーニングである。

 二人は左右の足で五往復ずつのケンケンをして、その後踏み込みを意識したシャドーボクシングを行った。



 終わって練習場に戻ろうとする康平だったが、白鳥は再び空気椅子を始めている。


「白鳥は空気椅子を二回やんの?」

「い、今ので三回目だよ。……俺は姿勢が高くて打たれ易いからな」

< 204 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop