臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
柔軟体操も終わった時、飯島が再び白鳥に話し掛ける。
「白鳥、空気椅子は二日に一回でいいんだぞ。それに、多くてもニセットまでだ」
「……はい」
白鳥は返事をしたが、大人しい彼には珍しく、何か言いたげな表情になっていた。
飯島が言った。
「今日も空気椅子を三セットやったんだろ? お前の高い姿勢を早く直したい気持ちは分かるんだがな」
「…………」
「ただ最近の白鳥は、スパーリング以外だと左膝をしっかり曲げているんだ。お前は足腰が弱いって訳じゃないんだよ」
「分かりました。……でも、空気椅子を三セットやったのは何で分かったんですか?」
「お前は昨日、第二体育館へ行ってから二十分以上経って戻って来ただろ? いつもよりずっと時間が掛かったから、女バス顧問の田嶋先生に訊いたんだよ」
飯島は話を続けた。
「それに白鳥には、また新しいパンチを教える予定だからな。第二体育館へずっといる時間が勿体無いんだよ。空気椅子を口実にして女バスを見たいってんなら、話は別だがな」
「白鳥、空気椅子は二日に一回でいいんだぞ。それに、多くてもニセットまでだ」
「……はい」
白鳥は返事をしたが、大人しい彼には珍しく、何か言いたげな表情になっていた。
飯島が言った。
「今日も空気椅子を三セットやったんだろ? お前の高い姿勢を早く直したい気持ちは分かるんだがな」
「…………」
「ただ最近の白鳥は、スパーリング以外だと左膝をしっかり曲げているんだ。お前は足腰が弱いって訳じゃないんだよ」
「分かりました。……でも、空気椅子を三セットやったのは何で分かったんですか?」
「お前は昨日、第二体育館へ行ってから二十分以上経って戻って来ただろ? いつもよりずっと時間が掛かったから、女バス顧問の田嶋先生に訊いたんだよ」
飯島は話を続けた。
「それに白鳥には、また新しいパンチを教える予定だからな。第二体育館へずっといる時間が勿体無いんだよ。空気椅子を口実にして女バスを見たいってんなら、話は別だがな」