臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
先輩達の通った道
 翌日の昼休み。康平と有馬は部室に行き、洗面器に水を汲んでバシャバシャと顔に水を掛けていた。

 二人は交替で水を掛けるのだが、水を掛ける時はエプロンをして、制服に水が掛からないようにしている。


 共に三セットずつ終わり、教室へ戻る途中で有馬が話し出す。

「こんなヘタレな癖は早く直してぇよ」

「来週からは、先輩達もカウンターを打ってくるからな」


 康平が答えた時、有馬は真面目な顔になっていた。

「……俺さぁ、プロボクサーになりたいんだよな」

「え、マジで?」


 驚く康平に有馬が言った。


「俺のダチって一度ゲーセンで会ったよな?」

「あぁ、あの五人だろ?」

 康平は、奇妙なゲームセンターで会った有馬の友達を思い出す。

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