臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「その人達が辞める時は引き止めなかったんですか?」
「俺と梅田先生は、部員が辞めたいと言った時は説得しない事にしてるんだよ。どんなにそいつが強くてもな」
「どうしてですか? 勿体無い気がすんですけど……」
「ボクシングが危険なスポーツだからさ。嫌々練習して大きな怪我でもされたら、俺達も嫌だし、何より本人が後悔するからな」
「大崎先輩は根性ありますね」
「大崎のガッツは半端じゃないぞ。肋骨にヒビが入った次の週から、ボディープロテクターを付けてスパーリングを続けたしな」
ブザーが鳴ってスパーリングが始まった。
身長が百六十五センチの大崎と百六十二センチの石山は、共に背が高い方ではなく、ファイタータイプのボクサーで前に出て戦う。
石山はリズムを取らず、ユックリと頭を振りながら、歩くようにして少しずつ前へと進んでいく。
一方の大崎は、膝で早いリズムを取る為、体全体が上下にブレる。そして、膝のリズムに合わせて頭の位置を小気味良く振り、前へ出ていった。
二人の距離が近付き、左ジャブの応酬になった。
「俺と梅田先生は、部員が辞めたいと言った時は説得しない事にしてるんだよ。どんなにそいつが強くてもな」
「どうしてですか? 勿体無い気がすんですけど……」
「ボクシングが危険なスポーツだからさ。嫌々練習して大きな怪我でもされたら、俺達も嫌だし、何より本人が後悔するからな」
「大崎先輩は根性ありますね」
「大崎のガッツは半端じゃないぞ。肋骨にヒビが入った次の週から、ボディープロテクターを付けてスパーリングを続けたしな」
ブザーが鳴ってスパーリングが始まった。
身長が百六十五センチの大崎と百六十二センチの石山は、共に背が高い方ではなく、ファイタータイプのボクサーで前に出て戦う。
石山はリズムを取らず、ユックリと頭を振りながら、歩くようにして少しずつ前へと進んでいく。
一方の大崎は、膝で早いリズムを取る為、体全体が上下にブレる。そして、膝のリズムに合わせて頭の位置を小気味良く振り、前へ出ていった。
二人の距離が近付き、左ジャブの応酬になった。