臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「知っててわざとやってんだよ」
「どうしてですか?」
飯島へ康平が更に質問した。
「膝をかなり柔らかくすると、パンチ力が落ちる代わりに別のメリットがあるんだよ」
「それは何ですか?」有馬も質問に加わった。
「いつでもパンチを出せる状態でいられるんだ。それも、頭や足の位置をずらしながらな。……と言う事はだ、森谷の奴は得意のアレを出し易いって事さ」
「……カウンターですね」
「そうだ。アイツは自分の目(動体視力)がいい事を分かってるからな。だからパンチ力よりもカウンターを打ち易いスタイルを選んだんだよ」
「森谷は確かに目がいいけど、パンチをあまり貰わなくなったきっかけは、兵藤の右フックだと思いますよ」
六人が清水の方を向いた。彼は話を続けた。
「去年の十二月頃、森谷は兵藤の右フックで二週続けて倒されたんで、俺の所へ相談しにきたんですよ。『あの右フックだけは貰いたくないんで、どうしたらいいですか?』ってね」
「どうしてですか?」
飯島へ康平が更に質問した。
「膝をかなり柔らかくすると、パンチ力が落ちる代わりに別のメリットがあるんだよ」
「それは何ですか?」有馬も質問に加わった。
「いつでもパンチを出せる状態でいられるんだ。それも、頭や足の位置をずらしながらな。……と言う事はだ、森谷の奴は得意のアレを出し易いって事さ」
「……カウンターですね」
「そうだ。アイツは自分の目(動体視力)がいい事を分かってるからな。だからパンチ力よりもカウンターを打ち易いスタイルを選んだんだよ」
「森谷は確かに目がいいけど、パンチをあまり貰わなくなったきっかけは、兵藤の右フックだと思いますよ」
六人が清水の方を向いた。彼は話を続けた。
「去年の十二月頃、森谷は兵藤の右フックで二週続けて倒されたんで、俺の所へ相談しにきたんですよ。『あの右フックだけは貰いたくないんで、どうしたらいいですか?』ってね」