臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「兵藤の右フックはヤバいからな。……ところで清水は何て答えたんだよ」
飯島に訊かれて清水が答える。
「左ガードを下げない事と、頭の位置を変えるようにってしか言えなかったですよ。……あと、シャドーや(サンド)バッグでも常に意識しろって事ですかね」
清水は、頭を掻きながら話を続けた。
「実のところ、俺の方こそ教えて欲しい心境だったんですよ。その頃、俺も兵藤の右フックで一度倒されてましたからね」
「ただ森谷はアレ以降、兵藤の右フックを滅多に貰わなくなったんだよな。お前のアドバイスが効いたんじゃないかぁ?」
飯島は、言い終わった後にニヤニヤしている。
「や、やめてくださいよ。森谷の奴は自分だけ勝手に避けれるようになったんですから。……自分だけね」
清水は、一年生達を見ながら続けて話す。
「お前らもタイプは違うかも知れないが、森谷のディフェンス技術は参考になるから、よ〜く見ておくんだぞ。特に右フックは絶対貰わない筈だからな」
一年生達が返事をした時、リング上でバスッとパンチの当たる音がした。
飯島に訊かれて清水が答える。
「左ガードを下げない事と、頭の位置を変えるようにってしか言えなかったですよ。……あと、シャドーや(サンド)バッグでも常に意識しろって事ですかね」
清水は、頭を掻きながら話を続けた。
「実のところ、俺の方こそ教えて欲しい心境だったんですよ。その頃、俺も兵藤の右フックで一度倒されてましたからね」
「ただ森谷はアレ以降、兵藤の右フックを滅多に貰わなくなったんだよな。お前のアドバイスが効いたんじゃないかぁ?」
飯島は、言い終わった後にニヤニヤしている。
「や、やめてくださいよ。森谷の奴は自分だけ勝手に避けれるようになったんですから。……自分だけね」
清水は、一年生達を見ながら続けて話す。
「お前らもタイプは違うかも知れないが、森谷のディフェンス技術は参考になるから、よ〜く見ておくんだぞ。特に右フックは絶対貰わない筈だからな」
一年生達が返事をした時、リング上でバスッとパンチの当たる音がした。