臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「先生。パンチは今ミットで打ったように、弾く感じで打たなければ効くパンチにはならないんですか?」

「白鳥はアレを中々打てなかったからな。……心配すんなってぇ。うちには、全く違った打ち方をする奴もいるからな」

 飯島はそう言って、練習している二年生達の方をチラっと見る。


 健太がそれに気付いて飯島に訊いた。

「誰なんですか?」

「ん、訊きたいか?」

「はい」


 頷く健太に飯島は笑いながら言った。

「これは口で説明するより、お前達が体で理解する事だからな。もうすぐスパーリングだろ?」

「体で理解する……って事は、パンチを貰うって事ですよね」

「まぁそういうスポーツだからな。……最初はスパーリングに馴れるまで苦労するだろうから、我慢するんだな。話は変わるが、さっきのミット打ちはいつもと違ってただろ?」

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