臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
マジックミラー越しに康平は後ろの様子を見る。
八十歳を越えているようなお爺さんが、腰を九十度に曲げ、杖を突きながら散歩していた。
その老人は、康平をじっと見ながらユックリと歩く。
康平は、マジックミラーを通してお爺さんと目が合ってしまった。黙っているのも気まずいと思い、後ろを振り返って挨拶をする。
「お、おはようございます」
だがその老人は耳が遠いのか、何の反応も無く、康平をジーッと見ながら小さな歩幅で歩いている。
康平は挨拶が空振りに終わり気恥ずかしくなった。もう一度会釈をしてから店の方を向き、屈伸運動を再開する。
お爺さんが通り過ぎるまで、二十七回も屈伸運動をしてしまった康平は、再びシャドーボクシングを始めた。
しばらく続けていたが、最後はフォームチェックに入った。これは部活でも行っているもので、構えからフットワーク、個々のパンチやディフェンス等、一つ一つの動作を確認していく。
八十歳を越えているようなお爺さんが、腰を九十度に曲げ、杖を突きながら散歩していた。
その老人は、康平をじっと見ながらユックリと歩く。
康平は、マジックミラーを通してお爺さんと目が合ってしまった。黙っているのも気まずいと思い、後ろを振り返って挨拶をする。
「お、おはようございます」
だがその老人は耳が遠いのか、何の反応も無く、康平をジーッと見ながら小さな歩幅で歩いている。
康平は挨拶が空振りに終わり気恥ずかしくなった。もう一度会釈をしてから店の方を向き、屈伸運動を再開する。
お爺さんが通り過ぎるまで、二十七回も屈伸運動をしてしまった康平は、再びシャドーボクシングを始めた。
しばらく続けていたが、最後はフォームチェックに入った。これは部活でも行っているもので、構えからフットワーク、個々のパンチやディフェンス等、一つ一つの動作を確認していく。