臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 降りる駅まであと少しのところで、麗奈が再び口を開く。

「あんた達、明日図書館で勉強するの? 亜樹と話しているのが聞こえちゃったんだ」

「俺達テスト休みが無いからさぁ、今からやっておかないとヤバいんだよ。健太、そうだよな?」

「ん……あ、まぁな」健太が曖昧に答える。


「綾香も行くって言ってたけど、ホント尊敬出来るよ。彼女も何気に成績いいしね」

「麗奈も来ればいいじゃん」


 康平が言うと、麗奈は右手を小さく振った。

「無理無理、私ってテスト休み以外家で勉強しない人だからさ」



 駅から出た三人だが、康平と健太は、ここで反対方向に家がある麗奈と別れた。


 歩きながら健太がボソっと言った。

「……俺さぁ、明日図書館へは行かないからさ」

「え? 明日は綾香も来るんだぜ」

「ちょっと思うところがあってな。……明日は行かないって決めたからさ。まぁ、あの二人にはお前から言っといてくれよ。じゃあな」

 健太は左手を上げて康平と別れた。

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