臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
 翌朝の九時、康平は家の近くの図書館にいた。

 図書館は朝九時に開館で、亜樹と綾香は十時にここへ来る予定だ。康平は彼女達の席を確保する為、早目に出ていたのだ。


 康平は数学の授業で解らない箇所があり、今日は亜樹にそれを教えて貰おうと思っていた。

 六人が勉強できる大きなテーブルに、数学の教科書とノートをバッグから出す。


 理解出来ていない所をチェックしようとノートを見ていた康平だったが、隣の椅子に女の子が座った。


「康平ちゃん、今日は図書館に来てたんだ」


 栗原弥生である。彼女は康平の一つ年下の中学三年生だ。


「まぁな、いつも行ってる図書館が休みなんだよ」

「へぇー、よく図書館へ行ってるんだ。勉強家だね」

「最近は全然行けてなかったけどな」

「今、数学やってるんだ。私、数学苦手でさぁ。ちょうどいいから教えてよ。勉強教えてくれる約束でしょ」

 弥生はそう言って、数学の問題集をテーブルに出した。

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