臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)

「あれ、裕也は一緒じゃないの?」

「裕也は、まだ学校で自主練してるよ。キャプテンと二人だけなんだけどね」

 康平に訊かれて、那奈はノートに書きながら答える。


 他の二人も黙々と勉強しているのを見て、康平も椅子に座った。

 綾香と那奈の前では、数学を亜樹から教えて貰えそうになかったので、康平は別の教科を机に出した。



 午後三時まで勉強をした三人は、ロビーで休憩をしていた。

 図書館に入った裕也が、そこに歩いていく。

「裕也遅いよ。ここは五時で閉館だから、勉強出来るのはあと二時間だよ」

「ごめんな。キャプテンが練習に付き合ってくれてたからさ」

 那奈に言われて裕也は頭を掻いた。


 閉館にり、四人が図書館を出た時、裕也が康平に話し掛けた。

< 49 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop