臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「あれ、裕也は一緒じゃないの?」
「裕也は、まだ学校で自主練してるよ。キャプテンと二人だけなんだけどね」
康平に訊かれて、那奈はノートに書きながら答える。
他の二人も黙々と勉強しているのを見て、康平も椅子に座った。
綾香と那奈の前では、数学を亜樹から教えて貰えそうになかったので、康平は別の教科を机に出した。
午後三時まで勉強をした三人は、ロビーで休憩をしていた。
図書館に入った裕也が、そこに歩いていく。
「裕也遅いよ。ここは五時で閉館だから、勉強出来るのはあと二時間だよ」
「ごめんな。キャプテンが練習に付き合ってくれてたからさ」
那奈に言われて裕也は頭を掻いた。
閉館にり、四人が図書館を出た時、裕也が康平に話し掛けた。