臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
臆する者と開き直る者
翌日の放課後。練習場へ入った一年生達に、梅田が話し始めた。
「お前達は今日からスパーリングを始める。前にも言っているが、二年生にはライトスパー形式でやらせるからな」
「お前達は思い切り打っていいんだぞ」
飯島も横から口を挟んだ。
一年生達は緊張からか、それぞれ無言で準備運動を始めた。
四ラウンドのシャドーボクシングが終わり、最初は有馬と大崎がリングの中へ入る。
開始のブザーが鳴った。
両グローブを合わせた二人だったが、お互いに様子を見ていた。
「何ニラメッコしてんだ! 有馬、ドンドン左ジャブを出せ」
梅田の怒鳴り声で、有馬が左ジャブを出す。
だが、同時に放っていた大崎の左ジャブが有馬の顔面にヒットした。