臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「ゴメンゴメン。……でもボクシングやってんなら避けなさいよ。それに、もっと腹は鍛えておかないと駄目なんじゃない?」

 弥生は尚も話を続ける。

「私今、フルコンタクト空手やってるんだけど、顔面パンチ禁止で少し物足んないだよねぇ。……ボクシングは顔を殴れるし、チョット興味あるんだ。私も永山高校に行こうかなぁ」

「相変わらず野蛮だな。それはそうと、弥生は公立高校入れんのかよ? 俺が中学にいた時も、何かと問題起こして職員室に呼ばれていたしさ」

「康平ちゃんが卒業してからは、私更正したんだよ。髪も黒くしてバッサリ切ったからね。どう……似合う?」

 弥生はショートカットの黒髪を掻き上げた。

「そ、それはどうでもいいとして……ゲホ」

 弥生の前蹴りが康平のボディーに入る。

「ゲホ……勉強の方はどうなんだよ? 授業は結構サボってたんじゃねぇの?」

「問題はそこなのよねぇ。……康平ちゃん、次の日曜日にでも図書館で勉強教えてよ」

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