臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
「十一月の新人戦だが大崎はバンタム級、相沢はライト級、そして森谷はウェルター級でエントリーするぞ。……お前ら問題は無いな」

 返事をする二年生達の表情が引き締まった。


 梅田は続けて一年生達へ言った。

「お前ら返し技を打ちたいか?」

「ハイ!」

 四人は間髪入れずに返事をした。


「だったら明日から形式練習の方法を変えるぞ。今までは、一種類のパンチをリクエストして返し技をやっていたが、次からは二種類のパンチをリクエストしろ」

「右ストレートと左フックの二種類……とかですか?」

 有馬が質問する。


「……いや、ストレート系に返し技をする時は、もう一種類のリクエストもストレート系に統一しろ。フックとアッパーの時は、もう一種類もフックとアッパーにするんだ」

「え、どうしてですか?」

 健太がすぐに訊いた。

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