臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
白鳥の実戦経験
 練習が終わった一年生達は、駅へ向かって歩いていた。

 健太が口を開く。

「そう言えば白鳥って、実戦経験があるって言ってたよな」

「じ、実戦経験て程じゃないけど……」

「白鳥は喧嘩しそうにないんだけどな」

「け、喧嘩なんてした事ないよ。ただ家では兄さん達とスパーリングをやってたよ」


 今度は康平が訊いた。

「白鳥の兄さん達ってボクシングやってたんだ?」

「兄さん達はボクシングをやってないよ。ただ、よく外で喧嘩してた」


 白鳥の話に康平達は戸惑っていた。

 それを察した白鳥が話を続けた。

「スーパーにいる叔父さんから聞いていると思うけど、俺んちって金が無かったんだよね」

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