臆病者達のボクシング奮闘記(第三話)
康平は、スパーリングで手加減されているとは言え、健太が得意のパンチを当てて森谷先輩の動きを止めたシーンを思い出す。
(今日の健太は凄かった)
その旨を言おうとした康平だったが、口から発せられることはなかった。
スパーリングで萎縮していた自分を振り返ると、健太に差を付けられた悔しさが勝り、言葉にすることが出来なかったのだ。
康平も健太と同じく、六ヶ月間真面目に練習してきたのもあったのであろう。
ただ康平は、ご機嫌な健太を見ると、親友として嬉しくなる気持ちもあった。
「お前と違って、俺は森谷先輩に遊ばれてたけどな」
苦笑しながらだったが、康平は、今の彼に言える最大限の賛辞を健太に贈った。
電車から降り、駅から出た二人は徒歩で歩いていた。健太が口を開く。
「綾香ってさ、お前に気があるんじゃねぇの?」
(今日の健太は凄かった)
その旨を言おうとした康平だったが、口から発せられることはなかった。
スパーリングで萎縮していた自分を振り返ると、健太に差を付けられた悔しさが勝り、言葉にすることが出来なかったのだ。
康平も健太と同じく、六ヶ月間真面目に練習してきたのもあったのであろう。
ただ康平は、ご機嫌な健太を見ると、親友として嬉しくなる気持ちもあった。
「お前と違って、俺は森谷先輩に遊ばれてたけどな」
苦笑しながらだったが、康平は、今の彼に言える最大限の賛辞を健太に贈った。
電車から降り、駅から出た二人は徒歩で歩いていた。健太が口を開く。
「綾香ってさ、お前に気があるんじゃねぇの?」