コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
しかし、小柴と交わした約束を縁に話そうとした矢先、管轄している地区内で夜間に小さなボヤがあった。
畑の一部が燃え、住人がバケツで消せるくらいのもの。
でもそれは一回だけではなく、一週間に三回ほど同じようなことが起きている。
連続放火魔かもしれないということで、俺達は夜間の見回りを強化することに。
こうなるといつ呼び出されるかわからないため、落ち着くまで例の件は持ち越すことにした。
「あ……またボヤがあったんだ。うちからは離れてるけど嫌だね」
桜の蕾が開き始めた4月のある日、夕食を食べながらテレビの県内ニュースを見て縁が言った。
これは昨日の夜中、俺も駆け付けた現場だ。
いまだに放火犯のしっぽが掴めないことにイラ立ちが募る。
「規模が大きくなる前に、早く捕まえなきゃいけねーのにな……」
もどかしい気持ちで味噌汁をかき込む俺を、縁は複雑そうな表情で見つめる。
そして小さく微笑むと、俺の背中をぽんぽんと軽く叩いた。