コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
その夜、縁が風呂に入っている間テレビを見てくつろいでいると。
学生時代からいまだに変えていない俺のガラケーが着信を知らせた。
「……誰だ」
そこに表示されているのは登録されていない携帯番号。
首をひねりながも、とりあえず出てみる。
「はい、片霧です」
『あ、兄ちゃん! オレオレー!』
テンション高く聞こえてきたのは、いまだに“兄ちゃん”と呼んでくれている可愛いアイツの声。
「翔か。お前それ“オレオレ詐欺”と間違えられるから気をつけろよ」
『兄ちゃんならわかってくれると思ってー。これオレの番号だから登録しといてよ』
どうやら翔は、この春高校に入学したと同時に携帯を手に入れたらしい。
片霧家では中学生ではまだ持たせてもらえない決まりだから。
「どう? 高校は」
『楽しくやってるよ。この間、ついにオレにも彼女出来たし!』
「おぉマジか。おめでとー」
『そうだ、ついでに聞いときたかったんだけどさ……』