コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
素直で可愛い弟に笑みをこぼしながら電話を切った。

ふと視線を感じて振り返ると、縁がタオルで髪の毛をふきながら訝しげに俺を見ている。



「そんなとこで何コソコソ電話してるの?」

「あー……お悩み相談?」

「なにそれ」



あんな情けない男の事情を話すわけにはいかないだろ。カッコ悪いし。



「お前は知らなくていいことだよ」



縁の濡れた頭にぽんと手を乗せて笑いかけると、俺も風呂場へ向かった。


そういえば、最近一緒に風呂入ってねーな……嫁の条件にしてたくせに。

寝る時もいつも同じベッドで寝ているけど、ここんとこずっと疲れていてすぐに眠りに落ちてしまう。


もちろん、抱きたい欲求はあるに決まってるが。

隣に縁の存在を感じるだけで安心して、いつの間にか眠ってるんだよな。

昔は、結婚したらサル並にヤれるなーとかアホなこと考えてたのに。



──理想と現実は違う。特に結婚生活は。

それでも、一緒にならなければよかったなんて後悔は微塵もない。

たくさん寂しい想いをさせてしまっているけど、縁もそう思ってくれるだろうか──。




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