コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
「わかってるんだよ? 仕事だから仕方ないってわかってるんだけどさ……」

「まぁ、ちょっと切ないよね」



膝を抱えたあたしは、気持ちを汲み取ってくれる舞花に、胸に押し込めていたものを少しずつ吐き出す。



「ここんとこずっと二人でゆっくりする時間が取れてなくて、だから今日こそはって思ってたから……余計期待しちゃってたんだよね」



本当は、那央が記念日を覚えていないとしても、それはたいした問題じゃないの。

ただ、一緒に過ごす時間が欲しかっただけ。



「那央だって仕事きついはずなのに、泣き言一つ言わずに頑張ってて。あたしだってこれくらいのこと我慢しなきゃいけないのに……結局逃げてる自分が嫌になるよ」



高校を卒業してから、那央とも、友達や親とも離れて、一人でやっていけるようになったはずなのに。

どうしても、あたしは那央がいないとダメみたいだ。

あたし、あの頃から何も変わってないじゃん……。

< 36 / 82 >

この作品をシェア

pagetop