コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
自分の足音だけが響く中、小走りになったあたしは、パンプスが脱げそうになってすぐ立ち止まった。

その時。

──ザリッと、あたし以外の地面を踏む音がした気がした。


反射的に後ろを振り向いて、キョロキョロと辺りを見ても誰もいない。暗くてよく見えないけど、たぶん。

……気のせい?


なんとなく嫌な気分で、耳に神経を使いながら再び歩き出す。

するとやはり、ザリッザリッともう一人の足音が混じっているのを耳が捉えた。


早足になると、足音も同じように早くなる。

明らかに誰かがあたしを追ってきている──!?

やだ……怖い!!


すぐに走り出すも、恐怖で足が思うように動かず、走りづらいパンプスのせいもあって転びそうになる。

もたついているうちに、足音だけではなく人が近付いてくる気配を感じ取った。


やだやだやだ!!!

那央……!

助けてよ、那央!!

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