コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
す、すごっ……!

目の前で繰り広げられるアクションを、あたしはただ呆然と見ていた。


「ぐはっ」と苦しげな声でアスファルトに伸びるのは、那央よりも少しガタイのいい男。

こんな時に不謹慎かもしれないけど……

自分よりも大柄な男を難なくやっつける那央、めちゃくちゃ頼もしくてカッコいい!!


改めて惚れ直していると、那央は男を後ろ手に捻り上げながらドスの利いた罵声を浴びせる。



「お前……縁に何しようとしたんだよ」

「いだだだだ! す、すみませ──」

「謝って済むなら警察はいらねぇって習わなかったか? 二度とふざけたマネすんじゃねぇクズ!!」



うわぁ……こんなに怒った那央、初めて見た。

棒になったように動けないでいると、那央は険しい表情のままあたしを見やる。



「何ともないか縁!?」

「だ、大丈夫……」

「こっち来てろ。俺のそばから離れんな」

「うんっ……!」



よろめきながら那央の広い背中にくっつくようにしゃがみ込むと、すぐ近くに取り押さえられている男がいるものの、あたしは一気に安堵した。

< 43 / 82 >

この作品をシェア

pagetop